精密検査
2018.3.28
スクリーニング検査の日は木曜日。
なるべく早く紹介先のS先生にかかってくださいと言われたが、土日は病院が開いていないので、金曜の朝一で紹介状を取りに行き、その場で紹介先の病院に予約の電話をした。
S先生は2院にお勤めで、両方に掛けてみたがなかなか直近の予約ができず、2〜3週間後になってしまう。
事情を話すと、どちらの病院もすぐに検査した方がいいとの事で、「他の先生なら来週すぐ診れるのですが」と言って下さったり、折り返しの電話を下さったり、かなり優遇された対応を受ける。
と同時に、それほど深刻な状態なんだ・・・と現実を突き付けられる感じがした。
結局、キャンセルが出たとの事で、当日午後15時から予約を入れられた。
紹介元の病院に「今日予約が取れました」と報告すると、主治医から呼び出し。
人気の先生なのでいつも2時間待ちなのに、間に時間を取って頂き話をすることに。
こんなにバタバタとしてて、病院からも特別に計らってもらっていて、良いような悪いような。
この日は予約を取り終えたら会社に行く予定だったが、急遽お休みする事に。
結局、会社にはスクリーニング検査をした日から出勤出来ず終いになってしまった。
15時。S先生にエコー検査をしてもらう。
赤ちゃんの脳や心臓、骨格、胃、膀胱、そして腎臓まで30〜40分掛けてじっくり検査してもらう。
心臓は綺麗に4つの部屋に分かれていて、血液の流れも正常ですね。
小脳は今これだけの大きさになっているから、18トリソミーなどではないですね。脳系の異常ではなさそうですね。
ここまで言われて、この赤ちゃんはきちんと成長出来てる、もしかしたら大丈夫かも、と少し希望が湧いた。
肋骨も綺麗ですね。ただ、これから大きくなって行くうちに、肺が低形成となり、お腹が大きくなるのに肺が無いせいで肋骨の大きさが心臓の大きさと同じままになり、釣り鐘型のお腹になっていくでしょう。
赤ちゃんは羊水を飲んでおしっこで出す事で肺が膨らみます。赤ちゃんの膀胱がエコーで確認出来ないということは、膀胱にお水が溜まってないという事。今さっきおしっこしたばかりという可能性もあるが、この大きさの赤ちゃんなら20分くらいでおしっこが溜まるはず、このエコーの時間のうちに一度も確認出来なかったとなると、やはり羊水が飲めていないんじゃないかな。
16週の時に胃腔が見えなかったのも、羊水を飲めていなくて胃にお水が溜まってなかったからエコーで見えなかったんだと思う。
そして腎臓。
エコーで映し出された画像が、ネットで調べた通りの空洞がボコボコ空いてる状態で、見た途端に希望が一気に消えていった。
正常に発達している部分も少しだけあるが、両方の腎臓の大部分に多嚢胞が見られる。
通常腎臓は1個あればヒトの一生ぶんは賄えるんだけど、この子の場合は両方ともこうなってしまっている。
また妊娠後期に多嚢胞になってて肺がある程度作られた後だったらまだ可能性はあったかも知れないが(気休め程度の可能性だとは思う)、初期の段階で大部分がこうなっていると、産まれてから呼吸をする事は厳しいし、呼吸が出来たとしても一生透析をしていくというのはあまり現実的ではないよね、と。
S先生は本当に優しく、丁寧な言葉でゆっくりと説明してくれた。
私はネットで調べた情報の通りのままだなーと思いながら、はい、はいと頷くだけだった。
そして、この子は、産まれてきても生きられないんですね、と確認をした。
赤ちゃんはまだ成長段階だし、今後も変わっていく可能性もあるが、先生の見立てではこの腎臓の状態だと羊水はどんどん少なくなり、正産期を迎えてから死産になるか、それとも成長の途中で亡くなってしまうか、どちらかになるだろう事の宣告を受ける。
でも赤ちゃんをどうするかはご両親の意見が尊重されますので、今すぐ諦めなさいとは誰も言わないし、お腹で育てていってもいいし、お二人でゆっくり考えて下さい、とのこと。
待合室には誰もおらず、会計待ちの間、やっと涙が出てきた。
一人でただただ泣いていた。
病院の人も慣れているのか、誰も声を掛けてこなかった。
保育園に息子を預けていたので、義母に連絡をして、赤ちゃんダメでした、この精神状態ではお迎えに行けないので、行ってもらえませんか?とお願いする。
「気をしっかり持って帰ってきてね。」と言われる。
気をしっかり、しなくては。私は既にママだから。
でもどうしても涙が溢れ、帰りのバスや電車の中で静かに泣いてしまった。
18時。家に着いたと同時に息子と義父母が帰ってきた。
義父母にとっても青天の霹靂な話を、突然聞かされたと思う。
赤ちゃんどうしたの?どうしてダメなの?今後どうなるの?を一つ一つお話しした。
義父母はボロボロ泣く私をただ冷静に慰めてくれた。
家事もままならないので、そのまま義実家に行くことにした。
ちょうどその日は姪っ子がお泊りに来る約束をしていたそうで、義姉が来ると聞いていた。
義姉にも直接話がしたかったので、丁度良いと思った。
義姉も涙を流しながら、辛いね、と聞いてくれた。
何も出来ないけど、私はmakoちゃんの味方だよ、と言ってくれた。
赤ちゃんのこと一生忘れないよ、とも。
そのあとは何も知らないまだ幼い姪っ子達と、一緒にご飯を食べたりなぞなぞや折り紙をして遊んだ。
この子達のお陰で、心がとても楽になった。
子供は本当に大人を救ってくれるな、と思った。
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